荒尾市の万田坑は、三池炭鉱の主力坑口の一つとして使われた炭鉱施設で、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産です。敷地には赤煉瓦の巻揚機室と鋼鉄製の第二竪坑櫓が並び、巻揚機などの機械、第一竪坑跡、選炭場、専用鉄道の炭鉱電車まで、地下での作業から石炭を運び出すまでの施設が残っています。万田坑ステーションでは、展示や地下270mの坑道を再現したVRも利用できます。
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万田坑の早わかり情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 世界遺産 | 「明治日本の産業革命遺産」の構成資産。2015年7月登録 |
| 中心となる見どころ | 第二竪坑櫓、巻揚機室、炭鉱電車、第一竪坑跡、汽罐場跡 |
| 見学の目安 | 施設滞在約1時間、うち万田坑見学は約45分が市の案内 |
| 料金 | 大人・大学生410円。万田坑ステーションは無料 |
| 開館 | 9:30〜17:00、万田坑の最終入場16:30 |
| 所在地 | 熊本県荒尾市原万田200番地2 |
万田坑はどんな場所?三池炭鉱の主力坑口だった世界遺産
万田坑は、三池炭鉱で宮原坑に次いで整備された大規模な竪坑です。第一竪坑は1897年から1902年、第二竪坑は1898年から1908年にかけて造られ、人員の昇降や坑内の排水、石炭の選別、港への輸送などを担う施設が整えられました。1913年から1931年までの19年間には930万8340トン、1927年から1945年までの19年間には1643万126トンを出炭した記録が残っています。
採炭は1951年に中止されましたが、第二竪坑は坑内の揚水と管理のため、三池炭鉱が閉山した1997年まで維持されました。現在も第二竪坑櫓、巻揚機室、倉庫・ポンプ室、安全燈室・浴室、事務所、山ノ神祭祀施設のほか、第一竪坑跡、選炭場跡、汽罐場跡、煙突基礎などが残っています。
第二竪坑櫓や巻揚機室などは1998年に国の重要文化財、敷地は2000年に国史跡となり、2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界文化遺産に登録されました。一つの建物だけではなく、竪坑、動力設備、選炭場、鉄道までが同じ敷地に残り、炭鉱の仕事を支えた施設のつながりが分かる場所です。
入口側にある万田坑ステーションには、パネル、ジオラマ、デジタルアーカイブ、VRの展示があります。万田坑の入場券を購入する券売機も館内にあり、ステーションから屋外の万田坑までは徒歩約4分です。
万田坑の見どころ
第二竪坑櫓と赤煉瓦の巻揚機室
万田坑を代表する建物が、第二竪坑の鋼鉄製櫓と、その脇に建つ赤煉瓦の巻揚機室です。櫓は1908年完成で高さ約18.8m、巻揚機室は1909年完成の煉瓦造2階建て。第二竪坑は人員の昇降、排水、排気などに使われ、櫓と巻揚機室が一組になって地下と地上を結んでいました。
竪坑は地表から地下へ垂直に掘られた坑口で、人や資材を載せたケージを上下させていました。櫓上部の滑車へワイヤーを通し、巻揚機室に置かれた機械でケージを動かす構造です。赤煉瓦の機械室と鋼鉄製櫓が並ぶ現在の姿にも、地下深くの作業を地上から支えた設備の構成が残っています。
巻揚機室に残る機械と作業の合図
巻揚機室には、資材を巻き上げる中2階のウインチと、人員を乗せるケージを動かした2階の巻揚機が残っています。壁面には機械の仕様、信号、操作上の注意事項が掲示され、ケージを安全に昇降させるための合図や作業手順も残されています。
設備は蒸気力から電力への転換に合わせて更新されましたが、外国製のジャックエンジンやウインチ、地元の三井三池製作所製の巻揚機などがほぼ当初の状態で残っています。日本製に加えてイギリス、ドイツ、アメリカ、スイスの技術が導入されており、明治期の炭鉱に集められた機械設備を実物で見られます。
第一竪坑跡と坑内へ続いた設備
第一竪坑の建物は閉坑後にほとんど解体されましたが、竪坑櫓と巻揚機室の基礎、デビーポンプ室の一部が遺構として残っています。建物が現存する第二竪坑とは異なり、第一竪坑では地上に残った基礎からかつての施設の大きさや配置が分かります。坑口は坑内の吸気道を確保するため現在も開口しています。
敷地には第一竪坑、第二竪坑のほか、選炭場、汽罐場、専用鉄道に関する遺構も残っています。地下から石炭を取り出し、選別して鉄道で運び出すまでの施設が同じ場所にまとまっていることも、万田坑の特徴です。
汽罐場跡と煙突基礎
汽罐場は石炭を燃やして蒸気をつくり、万田坑の各施設へ動力を供給した場所です。現在は明治期の煉瓦壁と煙突の基礎が残っています。昭和初期までの全盛期には汽罐場が3棟、煙突が5本あり、巻揚機などを動かすための大規模な動力設備が置かれていました。
炭鉱電車と三池炭鉱専用鉄道
選炭場には、三池炭鉱専用鉄道で使われた炭鉱電車12号機と18号機が展示されています。万田と三池港の間では1909年3月から運炭が始まり、万田坑で採掘された石炭は専用鉄道を通じて港へ運ばれました。
12号機は動態保存されていますが、2026年度は4月から運休中です。運転が再開される場合は万田坑のホームページで案内されるため、現在は12号機・18号機の車両展示が見どころとなっています。
万田坑ステーションの展示と地下270mのVR
万田坑ステーションは入館無料の展示施設です。パネル、ジオラマ、デジタルアーカイブに加え、現在は埋め立てられて見ることのできない地下270mの坑道をCGで再現したVRがあります。第二竪坑の坑口からケージで地下へ降り、坑内電車へ乗り換えて採炭現場へ至る様子が再現されています。
VRゴーグルとディスプレイモニターは各3セットあり、ゴーグルでの視聴は同時に3人までです。VRゴーグルを装着できるのは中学生以上で、小学生以下は壁面のディスプレイで同じ映像を見られます。
時間と費用の目安
万田坑ステーションを含む施設全体の滞在目安は約1時間で、そのうち万田坑の見学は約45分です。定時ガイドツアーは解説員と万田坑を回る無料の案内で、参加には万田坑の入場券が必要です。予約はできず、開始5分前までに入場券を購入して万田坑ステーション入口前に集合します。15:00開始の回は土日祝のみです。
| 区分 | 個人入場料 |
|---|---|
| 大人・大学生 | 410円 |
| 高校生 | 310円 |
| 中学生・小学生 | 210円 |
| 未就学児 | 無料 |
| 万田坑ステーション | 無料 |
20人以上の団体料金は大人・大学生320円、高校生240円、中学生・小学生160円です。団体専用ガイドは事前予約制で、解説員1名につき40名まで、ガイド料は1名2,200円。予約は利用日の2週間前までで、ガイド料は当日現金払いです。
万田坑へのアクセス・駐車場
駐車場は万田坑ステーションにあり、屋外の万田坑までは徒歩約4分です。公共交通では、JR荒尾駅から産交バスの万田中・倉掛方面行きで万田坑前バス停を利用できます。大牟田駅からは、西鉄バスの笹林・一部橋経由倉掛行きで神田または倉掛の各バス停が利用できます。
| 交通手段 | アクセス | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 車 | 荒尾駅側から国道208号を経由し、万田炭鉱館の信号から約130m | 万田坑ステーション駐車場から万田坑まで徒歩約4分 |
| JR荒尾駅から | 産交バス万田中・倉掛方面行き、万田坑前で下車後徒歩 | 利用時は産交バスの時刻表を確認 |
| 大牟田駅から | 西鉄バス笹林・一部橋経由倉掛行き、神田または倉掛で下車後徒歩 | 利用時は西鉄バスの時刻表を確認 |
訪れる前に知っておきたいこと
休館日と最終入場
万田坑、万田坑ステーションともに月曜日が休館日で、祝日の場合は翌平日が休館です。年末年始も休館となり、万田坑の最終入場は16:30です。
屋外見学と天候
万田坑は竪坑櫓や第一竪坑跡、汽罐場跡、選炭場など屋外で見学する場所が多くあります。日差しが強い日は帽子や日傘、水分が必要になり、雨天時は敷地内の移動に傘が必要です。
車いすで見学しにくい場所がある
史跡内には、車いすでは見学が難しい区域があります。障がい者等用駐車場は万田坑ステーションに3台分あります。
ペットとVR利用の条件
盲導犬などの介助犬を除き、ペットはキャリーに入れている場合も入場できません。VRゴーグルを装着できるのは中学生以上で、小学生以下はディスプレイで映像を視聴します。
周辺で一緒に訪れたいスポット
| スポット | 万田坑との関係 | 主な見どころ |
|---|---|---|
| 宮崎兄弟資料館 | 荒尾市内にあり、万田坑とのセット券を販売 | 宮崎兄弟の生家と資料展示 |
| 石炭産業科学館(大牟田市) | 万田坑との半券提携あり | 三池炭鉱の採炭技術・石炭産業の展示 |
| 荒尾干潟水鳥・湿地センター | 荒尾市内の荒尾干潟にある展示・観察施設 | ラムサール条約登録湿地と渡り鳥 |
宮崎兄弟資料館は万田坑とのセット券があり、石炭産業科学館はどちらか一方の入場券の半券を提示すると、もう一方を団体料金と同額で利用できる提携があります。荒尾干潟水鳥・湿地センターでは、炭鉱遺産とは異なる荒尾の自然環境と有明海の干潟を見られます。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 万田坑・万田坑ステーション |
| 住所 | 熊本県荒尾市原万田200番地2 |
| 電話 | 0968-57-9155 |
| 営業時間 | 9:30〜17:00(万田坑の最終入場16:30) |
| 休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 |
| 料金 | 万田坑:大人・大学生410円ほか/万田坑ステーション:無料 |
| 予約 | 定時ガイドは予約不可。団体専用ガイドは事前予約制 |
| 駐車場 | 万田坑ステーション駐車場。障がい者等用3台あり |
| 公式サイト | 荒尾市・万田坑 |
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